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2017.5.1

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【美術館・博物館を訪ねて vol.1】
豪農の館でレトロ気分 ~コヤノ美術館西脇館 兵庫県西脇市~

 
オフアワーズ編集部

高速バスで1時間40分 小旅行気分で出発!

自然豊かなロケーションかつての繁栄を物語る廃線跡

ご当地出身のガイドさんの熱意にぐんぐん引き込まれる

見栄と閉鎖的な造りに豪農の表情が垣間見える

日常を忘れるレトロ空間

こんにちは!オフアワーズ編集部です。
忙しい毎日が続くと、ああ、美術館へ行きたい、と思うことはありませんか?しんと静まり返った空気の中で五感を研ぎ澄まして展示物と向き合う。そういう時間を大切にしている方、いらっしゃると思います。大きな美術館・博物館から小さな展示会・ギャラリー、ロングランの企画展から数日間の個展まで、オフアワーズ編集部がひとつひとつ足を運んでレポートする【美術館・博物館を訪ねて】シリーズ、あなたのアートシーンを彩る1ページになれますように。

高速バスで1時間40分 小旅行気分で出発!

桜のつぼみが膨らみはじめたころ、兵庫県西脇市のコヤノ美術館西脇館へ行ってきました。西脇市は兵庫県の中央部からやや東、「日本のへそ」を自称する場所に位置しています。大阪からは高速バスが1時間おきに出ており、ハイウェイを走り抜け片道1時間40分の道のりは、現実から逃避するのに十分な距離です。

西脇市位置地図

自然豊かなロケーションかつての繁栄を物語る廃線跡

高速バスの「西脇(アピカ)」停留所からタクシーに乗って約5分、車が止まったのは目的地のコヤノ美術館西脇館の前ではありません。不思議そうにしている私に、運転手さんはまず、目的地が前方に見えている建物であることを丁寧に教えてくれました。それから、今停車している場所、鍛冶屋線市原駅記念館のガイドをしてくださいました。
鍛冶屋線市原駅記念館は、平成2年に廃線となった鍛冶屋線市原駅を復元したものです。内部に切符売り場があり、当時の時刻表や写真などを展示、屋外には当時の車両、キハ30-70、同30-72を展示しています。コヤノ美術館西脇館とあわせて、かつてのにぎやかな雰囲気に思いをはせることのできる素敵な場所ですのでぜひ、立ち寄ってみてください。
鍛冶屋線市原駅記念館を後に、いよいよ隣接のコヤノ美術館西脇館へ。そこでふと、周囲の景色に目が留まりました。 目の前を流れる杉原川の雄大な流れ、のどかに広がる平地と、それを取り囲む背の低い山々、その景色はただ悠然と何十年、何百年の時の流れを見つめてきたのでしょう。その様子からは、かつてそこに鉄道が走っていたことなど想像もできません。

杉原川

ご当地出身のガイドさんの熱意にぐんぐん引き込まれる

大きな庇のついた門構え。本日の目的地、国指定の登録有形文化財、コヤノ美術館西脇館です。門をくぐると、左手に蔵、右手に庭が続いているのが見えます。
「いらっしゃいませ」
しゃがんで作業されていたガイドさんが、やや驚いたような表情で迎えてくださいました。
「お車でこられましたか?」
車のエンジン音が来訪者の合図となっているのでしょう。きっちりとセットされた髪、丸く愛嬌のある目は人に慣れていらっしゃる印象、言葉がはきはきと聞き取りやすいのもガイドさんらしい。母屋の前で入館料を払い、しばし、ガイドさんの案内に耳を傾けました。
今は美術館となったこの建物、もとは藤井家という豪農のお屋敷だったそうです。先ほどの鍛冶屋線建設をはじめ、銀行の創業に尽力するなど、明治から昭和にかけて、莫大な財力と権勢を誇った様子が、今は美術館として保存されています。
大きなむくり屋根、重厚な造りの母屋は明治期のもの、応接間と書斎を備えたモダンな建物は大正期、ガラス窓に囲まれた開放的な二階建ては昭和期のものです。外観のポイントはその堂々たる威容です。むくり屋根とは、武家の反り屋根に対抗して、屋根の中央部分が盛りあがったような形状をしています。これは商家のプライドを現したものといわれ、金もないのに威張っている武士への対抗心を示しているのだとか。

見栄と閉鎖的な造りに豪農の表情が垣間見える

内部は細部まで趣向が凝らされています。神棚や仏壇、欄間の精巧な造り、吹き抜けに渡された梁の存在感には圧倒されます。当時は珍しかった和式の水洗便所や、海外向けに作られた陶製の便器、冷蔵庫や電気の照明器具などが当時のまま保存されています。
内部を見るときのもう一つのポイントは、外からの来訪者を強く意識しているというところです。玄関の上がり框に使われている一枚板など、希少な素材が随所に使用され、誰でも気付くことのできる目新しい設備だけでなく、来訪者の知識や教養が試される仕掛けが施されているのです。また、これだけのお金持ちですから、その財宝を狙う者への備えも十分です。屋敷への入り口は大きく立派に造られていますが、普段はその一部を障子戸にして前かがみにならなければ出入りできませんでした。当然、武器を振りかざして入ることはできません。一見、物置に見える引き戸の奥には、万が一の時に逃げ込めるように隠し部屋へ続く階段が備えられています。観覧の際には、屋敷に侵入する強盗になりきってみると面白いかもしれません。豪農のしたたかで臆病な横顔を見ることができるかもしれません。

杉原川

日常を忘れるレトロ空間

コヤノ美術館西脇館は、建物としての価値の非常に高い美術館ですが、内部には館長が蒐集した生活道具や着物などの骨とう品も展示してあります。年配の方は懐かしいと感じられる物に出会えるかもしれません。また、2017年は特別展「うちわ展」が開催されています。明治期以降のうちわデザインが、時代を反映している様子がよくわかる面白い展示です。その他、ナイトミュージアムやひな祭り展など季節に合わせた企画が開催されています。また、貴重なロケーションを利用して、プライベート写真撮影会を開催することもできます。日常を離れてレトロな雰囲気を楽しむには絶好の場所です。ぜひ一度足を運んでみてください。
こちらの美術館は土日のみ開館です。平日は開いていませんので十分ご注意ください。また周辺には西脇市出身の美術家横尾忠則さんの作品を収蔵、展示している西脇市岡之山美術館や、ご当地グルメ、播州ラーメンと西脇ローストビーフを味わえるお店、特産品の播州織工房館などなど、お楽しみスポットがまだまだあります。西脇市観光協会のホームページはモデルコースを掲載するなど、充実していますので、ぜひ、こちらの美術館と一緒に西脇市観光もお楽しみください。

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名称 コヤノ美術館西脇館
住所 〒677-0004
兵庫県西脇市市原町139番地
鍛冶屋線市原駅記念館近隣
電話番号 06-6358-7555 ※大阪本館へ繋がります
FAX 06-6358-4967
webサイト https://www.koyafron.co.jp
/museum/nishiwaki/index.html
メールアドレス koyano@koyafron.co.jp
開館時間 毎週土曜日・日曜日の10~17時
(12月~2月は午後4時まで)
入館料 一般800円 小中学生300円
団体(20名以上)700円 年間フリーパス2,500円

参考URL

  • コヤノ美術館西脇館ホームページ
  • https://www.koyafron.co.jp/museum
    /nishiwaki/index.html

  • 文化庁 国指定文化財等データベース
  • https://kunishitei.bunka.go.jp
    /bsys/index_pc.html

  • 西脇市観光協会ホームページ
  • https://www.nishiwaki-kanko.jp

 

オフアワーズ編集部

 

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